システムトレードを始める前に、使用する自動売買ソフト、すなわちEAが過去にどのような取引成果を持っているかを検証できます。これには、過去の利益や損失、勝率などの実績が含まれます。
これをバックテストと称します。
バックテストのデータは、そのEAを採用するか否かの決定の際の大切な参考点となります。
しかし、バックテストは単純な作業ではなく、正しい手法を理解して、慎重に進める必要があります。
ヒストリカルデータの確認をする
まず、MT4のEAでバックテストを実施したい通貨ペアが何かを確認しましょう。
MT4内の「ファイル」メニューを選び、「オフラインチャート」を選択します。その後、表示されるオフラインチャートのウィンドウの左部分に「ヒストリーデータ」があるのを確認してください。
この場所で、バックテストを行いたい通貨ペアと、例えば「M1」「M5」「M15」などの時間足がリストされているかをチェックしましょう。
MT4のEAでバックテストを行う際には、指定された通貨ペアのすべての時間足のデータが必須です。
もし必要なヒストリカルデータが未設定の場合、それを設定してからバックテストを進める必要があります。
「ヒストリーデータ」の隣の「差出人」と「終了」は、データのカバー期間を示しています。「差出人」には古いデータの日付が、一方「終了」には新しいデータの日付が表示されています。
この「差出人」から「終了」の期間内で、バックテストを実施することが可能です。
すべての設定や確認が完了したら、「オフライン・チャートリスト」のウィンドウは閉じて構いません。
ストラテジーテスターの設定をする
続けて、MT4のツールバーにある「ストラテジーテスター」を選択してください。 少しわかりにくいかもしれませんが、これを選択すると、アイコンが押し込まれたような見た目に変わるでしょう。
その結果、チャートの下部に「ストラテジーテスター」の画面が現れます。この「ストラテジーテスター」画面の左上の選択肢が「エキスパートアドバイザ」に設定されているかを確認してください。
「エキスパートアドバイザ」になっていない場合、その選択ボタンを押すことで変更可能です。
「エキスパートアドバイザ」の隣にある「▼」をクリックすると、インストールされている全てのMT4 EAの一覧が出てきます。
そのリストから、実行したいバックテストのMT4 EAを選んでください。 次に、下の「通貨ペア」の隣の「▼」もクリックし、利用可能な通貨ペアのリストからバックテストを行いたいものを選びます。
そして、「通貨ペア」の隣の「期間」の「▼」をクリックし、バックテストを行いたい時間枠を指定します。
さらに、その下に表示される「モデル」の「▼」もクリックし、バックテストのモードを選びます。
こちらの「モデル」は、バックテストの精度を示すものです。
全ティック | もっとも正確だが、もっとも時間がかかる |
コントロールポイント | 精度は落ちるものの、全ティックより早い |
始値のみ | 精度はもっとも劣るが、もっとも早い |
特別な状況がなければ、全ティックモードでのバックテストを推奨します。
「モデル」の隣に「スプレッド」というオプションが表示されます。「▼」をクリックしてスプレッドの範囲を選んだり、具体的な数値を直接入力してスプレッドをカスタマイズしたりすることができます。
また、「モデル」の下部に、「期間の指定」や「開始日」、「終了日」という項目が表示されているでしょう。
「期間を指定」にチェックを入れれば、バックテストの実施期間を設定することが可能となります。そこで、「開始日」と「終了日」の欄に希望する年月日を設定してください。
ただ、先に確認したヒストリカルデータのカバー期間内での指定が必要となるので、この点を忘れずに考慮しましょう。
EAの設定をする
「ストラテジーテスター」の画面の右部に「エキスパートの設定」ボタンがありますので、それをクリックしてください。
次に、「テストの設定」のタブを選び、「初期証拠金」の欄にある「▼」マークをクリックします。
このセクションで、初期の証拠金を選択することができるだけでなく、直接の数字入力も可能です。
隣の「▼」マークを選択すると、初期証拠金の通貨の種類を選べます。
「USD」や「EUR」「GBP」などの選択肢から好みの通貨を選べますが、もし日本円でテストしたい場合、「JPY」と直接入力することも可能です。
初期証拠金の額を設定する際、不足しないよう注意が必要です。
10,000USDや1,000,000JPY以上を設定することを推奨します。
そして、「初期証拠金」の下部に位置する「ポジション」の欄でも「▼」をクリックし、MT4 EAが採用するポジションのタイプを選択してください。
Long only | ロング(買い)ポジションのみ |
Short only | ショート(売り)ポジションのみ |
Long & Short | 両方のポジション |
次に、「入力パラメーター」のタブを選択して切り替えてください。
表示される数字は、ダブルクリックすることで編集が可能です。
「true」と表示されている箇所は、ダブルクリックすることで「true」もしくは「false」を選択することが出来ます。
「true」を選択すれば、その変数の影響をMT4 EAに適用することができ、「false」を選ぶと、その変数の効果がMT4 EAには適用されません。 全ての設定が完了したら、「OK」を押して、EAの設定を終了します。
「ストラテジーテスター」の画面の右下部には「スタート」ボタンがあります。このボタンを押すことで、バックテストが開始されます。
バックテストの結果を見る
「ストラテジーテスター」の画面で「スタート」ボタンの隣に、進捗バーが配置されていると思います。
この進捗バーが完全に緑に変わると、バックテストは完了となります。
進捗バーの直下にはいくつかのタブが並んでいて、その中で「セッティング」の隣に「結果」というタブが存在します。この「結果」タブを選択すると、バックテスト中の全トレード履歴が見られます。
その情報をチェックした後は、「結果」の隣の「グラフ」というタブを選択します。この「グラフ」タブを選ぶことで、証拠金の変動が表示されます。
次に、「グラフ」の隣に位置する「レポート」タブを開くと、バックテストの詳細な結果を閲覧できます。
この「レポート」の画面で右クリックすると、メニューから「コピー」や「レポートの保存」などのオプションが現れるので、これを利用してレポートをコピーしたり保存することが可能です。
これらの手順は、バックテストの基本的な流れを示しています。
実際に取り組むと思っていたよりも難しく感じるかもしれませんが、これは将来的に自分自身のためとなる作業です。そのため、ぜひバックテストの実施をお試しください。