FXにおけるフィボナッチの引き方

FXでの分析にはテクニカル分析が不可欠で、その中で重要な役割を果たしているのがフィボナッチです。フィボナッチ数列やフィボナッチ数、フィボナッチの比率は、自然界にも頻繁に現れ、それが自然の法則を反映しているとも考えられています。一見複雑に思えるかもしれませんが、この記事ではフィボナッチの基本から、FXにおける具体的な利用方法について詳しく説明していきます。

そもそもフィボナッチとは?

フィボナッチ数列は、13世紀イタリアの数学者、レオナルド・フィボナッチが紹介した数の並びを示しています。この数列は1、1、2、3、5、8、13…と続き、一つ前の2つの数を足すことで次の数が得られる特性があります。また、各数値は次の数に対する比率が0.618、前の数に対する比率が1.618に近づく性質があります。0.618:0.382の比率は黄金比として知られ、1.618:1の形状は黄金長方形と称されます。例えば、人気のマンガ「ジョジョの奇妙な冒険」にも黄金長方形が触れられているため、詳しくはないものの名前くらいは耳にしたことがある人もいるかと思います。人々はこの比率を、美的な観点から最も魅力的と感じると言われており、古代エジプトのピラミッドや音楽の和音にもこの比率が見られます。まさに、この比率は自然界全体に広がっていると言えるでしょう。それゆえ、FXの分析においてもフィボナッチが欠かせない理由が見て取れます。

エントリーポイントを見つけるフィボナッチ・リトレースメント

フィボナッチの使用方法について考えると、最も一般的なのが「フィボナッチ・リトレースメント」として知られる技術です。 このリトレースメントを利用することで、どのポイントで下げの動きが止まり、トレンドが再び始まるかを予想できます。 簡単に言うと、下落や上昇の動きのエントリーポイントをフィボナッチ比率を用いて特定する方法です。 MT4の操作面では、ツールボックスにある「F」マークのボタンを選択。上昇トレンド時には、一つの上昇波の最低点を選択し、最高点までドラッグすることで、関連するラインが表示される仕組みとなっています。 MT4でのデフォルト設定では、0.0、23.6、38.2、50.0、61.8、100.0の6つのラインが示されることを付け加えておきます。

利食い目標を見つけるフィボナッチ・エクスパンション

たとえば、上昇トレンドがスタートし、その下げのタイミングで購入エントリーを決行したと考えてみましょう。 買いを決めた後、その上昇トレンドがどこまで続くのか、また、最も利益を最大化するタイミングで売却したいと多くの人が願うはずです。 そうした疑問を解決するのが「フィボナッチ・エクスパンション」という手法です。 このエクスパンションを利用すれば、上昇トレンドがどのポイントを目指しているのかを特定することができます。 通常、2回目の上昇動きは、初回の上昇幅とほぼ同じ、もしくは1回目の1.618倍の動きをすることがよくあります。 「フィボナッチ・エクスパンション」の利用で、初回の上昇トレンドとその調整動きを基に、次回の上昇目標を予測することができるのです。 MT4を使用している場合、メニュータブの「挿入」から「フィボナッチ」を選び、「エキスパンション」を選択すれば進めます。 トレンドの開始点をクリックしてから最高点まで、次にその調整点まで、順番にドラッグするだけです。 もし調整が必要な場合、赤い点線の端に表示される四角をダブルクリックして、その点線の位置を変更することができます。

押しの値幅から利食い目標を見つけるフィボナッチ・エクスターナル・リトレースメント

前回は利益の取得ポイントを示すフィボナッチの利用方法としてフィボナッチ・エクスパンションを取り上げました。このエクスパンションは、最初の上昇動きの範囲を基にして、次の上昇の期待範囲を割り出す方法です。 一方で、フィボナッチ・エクスターナル・リトレースメントは、初回の上昇後の下降範囲から次の上昇の目標値を導く方法となります。 具体的には、初めての上昇後の下降の範囲を元に、続く上昇がどれほどの範囲になるかを予測します。一般的に、下降の範囲の1.618倍の上昇をすることが多く、特に勢いがある場合は2.618倍の上昇が期待されます。 MT4を使用している場合、ツールボックス上の「F」というマークのボタンをクリックし、最初の上昇の高値から下降の最低値へとマウスをドラッグし、赤い線を展開するだけでこの方法を利用することができます。

いつ底値や天井になるのかを探るフィボナッチ・タイムゾーン

今まで紹介してきたフィボナッチの使用方法は、主に価格がどれくらい上がるか、あるいは下がるかを中心に考えられていました。しかし、フィボナッチ・タイムゾーンは時間的な側面に焦点を当て、いつ価格が底をつくのか、またはピークに達するのかを予測するために用います。 MT4を使っている場合、メニュータブの「挿入」から「フィボナッチ」を選び、さらに「タイムゾーン」を選択して表示させることができます。 初めて表示させたときには、0の位置に一本のラインだけが表示されます。しかし、この初めのライン下部の赤い四角マークにマウスを合わせて、始点となるフィボナッチポイントを設定すると、その後のラインが自動で表示されるように設定されます。

相場の勢いを測るフィボナッチ・ファン

フィボナッチの使用法の中で、最後に触れたいのが「フィボナッチ・ファン」という方法です。 フィボナッチ・ファンは、市場の動きの強さをフィボナッチの比率を用いて評価するアプローチです。 先ほど触れたフィボナッチ・リトレースメントやフィボナッチ・エクスパンションは、水平方向に線を引くことで目的の価格を特定します。 一方、フィボナッチ・ファンは斜めの線を使用し、その傾きを通じてトレンドの強さを判断します。 このフィボナッチ・ファンの線は、一般的なトレンドラインと同じく、サポートやレジスタンスとして作用します。また、これらの線を参考にして、買いや売りのタイミングを見定めることも可能です。 MT4を使用している場合、メニュータブの「挿入」から「フィボナッチ」を選び、「ファン」を選択して表示させることができます。 トレンドが形成された際には、フィボナッチの線を引き、どのラインがサポートとして機能しているか確認しましょう。 その線をトレンドの始点から引くことで、トレンドの強さや勢いを評価することができます。

FXではフィボナッチを使い分けることが大切

FXの世界には、「これ一つで全てが解決する!」という便利なツールは存在しません。 FXの取引では、多岐にわたる選択の中から適切な判断を下す必要があり、使用するツールや方法の柔軟な使い分けも鍵となります。 これまでに紹介してきたフィボナッチの使用法においても、単一の方法に固執するのではなく、その時々の市場の動きに合わせて適切なものを選び取ることが求められます。 たとえば、市場の動向に応じてフィボナッチ・リトレースメント、フィボナッチ・エクスパンション、フィボナッチ・エターナル・リトレースメントなど、複数の方法を併用するのも一つの戦略です。 市場の状態を正確に理解し、その上でフィボナッチの線を引くことが基本となります。

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